『古代のキリスト教徒と軍隊』
図書館が利用できないこともあって、積読の論文や書籍を読んだり、だいぶ前に読んで内容を忘れている書籍を読み返したりしています。今日は『古代のキリスト教徒と軍隊』を読みました。確か2年くらい前に背景知識もなく無理やり読んだ本だったので、今読み返すと重要な発見があったり、今だからこそ意味を持ってくる箇所があったり。
それからこの本の良いところは、一次史料をふんだんに原典から引用して、日本語訳で読めるようにしてあるところですね。一次史料を実際に眺めつつ歴史叙述を読めるというのは、研究者にとっても読者にとっても有用です。「はじめに」では、
「…フォートレス・プレス社が、論文としては長すぎ本としては短すぎるというジレンマにわれわれが悩んでいたところを、おもに主要文献を引用して挿入することによって内容を多くして、現在のような形に…」(1頁)
という事情が明かされていますが、読者にとっても助かる提案ですね。引用されている一次史料を挙げておきます。
キケロー『義務について』1巻11-13
ヨセフス『ユダヤ戦記』2章169-177
(新約聖書からの軍隊についての隠喩一覧、省略)
ローマのクレーメンス『コリント人への手紙』37.1-3
アンティオキアのイグナティオス『ポリュカルポスへの手紙』6.2
キュプリアーヌス『手紙』50.1
テルトゥリアーヌス『護教論』30.4/37.3-5/42.2-3;『偶像崇拝について』19章;『冠について』1・11・12・15章
エウセビオス『教会史』5巻4.3-5
ヒッポリュトス『使徒伝承』
オーリゲネース『ケルソス論駁』3.8;5.33;7.26;8.73
『外典福音書 イスラエルの哲学者トマスによるイエスの幼児物語』
『年間の祝祭暦』
『聖マリーヌスの殉教』『マクシミリアーヌス行伝』『マルケッルス行伝』『聖ダシウスの殉教』『予備隊兵士ユーリウスの殉教』
アンブロシウス『詩篇講解』35.25
アウグスティーヌス『手紙』189.2,4-7;220.5-7;『マニ教徒ファウストゥスを駁す』22.73-76
他にも碑文や、史料の短い一節なども引用されています。