『アウグスティヌス時代の日常生活』
- 作者: アダルベール・アマン,東丸恭子
- 出版社/メーカー: リトン
- 発売日: 2001/07
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- 作者: アダルベール=ゴーティエアマン,Adalbert‐Gantier Hamman,印出忠夫
- 出版社/メーカー: リトン
- 発売日: 2002/02
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第一部 人びとの生活と環境
一 アフリカをたずねて / 二 ヒッポ・レギウス / 三 生活の諸相
四 都市の家庭 / 五 富者と貧者 / 六 見世物 / 七 異教の名残りとキリスト教
第二部 キリスト教共同体
八 「いっぱいの網」 / 九 ヒッポの日曜日 / 一〇 最も美しい夜
一一 司教の職務 / 一二 破られた縫い目なしの衣 / 一三 殉教者の血によって種蒔かれた地
第三部 教会と国家
一四 アフリカから見たローマの動乱 / 一五 二つの国
結論 神の国
紀元後4世紀末から5世紀初頭における北アフリカの社会・文化史についてとても読みやすい文体で書かれています。幅広い事柄を扱っており、気になるテーマがちらほらありました。アンミアヌスも(「アミアヌス」と表記)少しだけ登場。
読んでいて思わず噴き出したのが以下の箇所(かっこ内は引用者による)。
「彼(アウグスティヌス)はキリスト教徒が公職を受け入れるよう力づけ、公職に従事する信徒たちを見て誇りとした。…アウグスティヌスはある日、ヒッポ(アウグスティヌスの故郷であり暮らしていた町)の人びとに向かって、役人を喩えて次のようにさえ語った。『彼らは、通過する町々で人びとの好まぬ雑役をする。彼らはみな正しき人、聖者である。』目が眩んでいるとしか思えないくらい、美しく誇張された演説ではあるが、『彼のいとも親愛な息子』アフリカ管区長官(アフリカの偉い人)マケドニウスに宛てた手紙を見れば、彼が視力を失っていないことがわかる。『訴え出た双方の者から、平然と賄賂を受け取っている下役がいます。こうした役得のおかげで、世の中に必要な大勢の人びとがこれらの役職を選び、そこに留まっているのです。』これまでわれわれが見てきたような不正徴収や買収に手を染めたある租税役人に向かって、アウグスティヌスが忿懣をぶちまけた一通の手紙が残されているが、ここで彼はこの役人を『すべてを呑み尽くすドラゴン』と呼び、『われわれに正直な納税者と収税吏を与えよ。そうすれば国家は利益と信用とを得るだろう』と書いている。」
(下巻332-3頁)
アウグスティヌスの言いかたもすごいけれど、著者の皮肉もすごい。