論文抜き刷り拝受「マクシミヌス・トラクス政権の崩壊と北アフリカ」
大清水裕さんより、ご論考「マクシミヌス・トラクス政権の崩壊と北アフリカ」(『史学雑誌』121編2号、2012年2月、1-38頁)並びに"Les noms des empereurs tétrarchiques martelés: les inscriptions de l'Afrique romaine", Classica et Christiana 6(2), 2011, p. 549-570.をいただきました。深く御礼申し上げます。
前者はローマ史上「7皇帝の年」とも呼ばれる238年の初頭、北アフリカの都市テュスドゥルス(現在のエル・ジェム、チュニジア)で起こった反乱の勃発原因と背景を考察しています。碑文史料の綿密な考察を経て、反乱の原因は、本来帝国当局の介入や税負担を免除されていた都市テュスドゥルスに対し、当時の帝国の役人がさらなる負担を求めたこと、そしてその背景として、この時代の北アフリカではローマ文化やギリシア文化、さらには旧来のリビア系文化など様々な文化が混淆した独特な社会が形成されていたことを指摘しています。
後者はまだ読めていないのですが、同封の送り状によれば、「北アフリカの碑文から四帝統治の皇帝たちの名が削り取られた理由として碑文の再利用を重視するよう指摘したもの」とのことです。勉強させていただこうと思います。
著者の大清水さんはテトラルキア時代に関するフランス語概説書を翻訳されており、また最近ではコンスタンティヌスに関する概説書も翻訳されています。
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コンスタンティヌス ─ その生涯と治世 (文庫クセジュ967)
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