ポッジョ・ブラッチョリーニの生涯

スティーブン・グリーンブラット(著)河野純治(訳)『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(柏書房, 2012年)。

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

目次

第一章 ブックハンター
第二章 発見の瞬間
第三章 ルクレティウスを探して
第四章 時の試練
第五章 誕生と復活
第六章 嘘の工房にて
第七章 キツネを捕らえる落とし穴
第八章 物事のありよう
第九章 帰還
第十章 逸脱
第十一章 死後の世界
訳者あとがき
解説(池上俊一
註・参考文献・索引

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 14世紀後半〜15世紀半ばの人、ポッジョ・ブラッチョリーニとルクレティウスとの出会いが、その後の人間世界をどのように変化させたのか。本の大半はポッジョの生涯とその時代に費やされるが(第一、二、五‐七、九)、変化を見るためには当然その前後が問われなければならない。かくして読者は、時に共和政期ローマへ、時に20世紀の世界へといざなわれることになる。
 ポッジョ・ブラッチョリーニなる「ブックハンター」が古典学にどれほど大きな寄与をなしたかを知るためにも良い入門になると思う。本書には言及されていない古典作品については、『古典の継承者たち』206‐214頁が参考になる。

古典の継承者たち―ギリシア・ラテン語テクストの伝承にみる文化史

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