コンスタンティウス2世の伝記
Constantius II. und seine Zeit: Die Anfaenge des Staatskirchentums
- 作者: Pedro Barceló
- 出版社/メーカー: Klett Cotta Verlag
- 発売日: 2004/03
- メディア: ハードカバー
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僕が今研究対象としている4世紀のローマ帝国では、コンスタンティヌス(帝位306-337年)、ユリアヌス(360-363年)、テオドシウス(379-395年)という強烈な印象を与える3人の皇帝がいます。この時代を代表すると言っていいのかどうか分かりませんが、この3人に関する研究は非常に多く、伝記もたくさん著されてきました。後期ローマ帝国はディオクレティアヌス帝以来分裂状態にあるのが普通だったのですが、この3人は期間の差はあれど帝国を統一し支配してもいます。僕が高校のころ世界史で習った後期ローマ帝国の皇帝もだいたいこの3人だったと思います(ミラノ勅令、「背教者」、キリスト教国教化と帝国の分裂、というキーワード込みで)。
しかしそれに比べて、彼ら3人以外の4世紀の皇帝たちに関する伝記はなかなか無いんですよね。最近気づいて驚いたのは、塩野七生さんの『ローマ人の物語』におけるヴァレンティニアヌス朝の扱い。ディオクレティアヌス時代が「四分統治」としてくくられているのもありましたが、ユリアヌスが亡くなった次の章は「司教アンブロシウス」。見事にヴァレンティニアヌスとヴァレンスはスルー…結構頑張った人たちだと思うんですけどね。まあこれは余談として。
コンスタンティヌスの息子であり、同じく帝国を統一しているコンスタンティウス2世(帝位337-361年)に関しても、個別研究はあれど包括的な研究はまだ無いように思えます。帝位24年間というのはローマ史を通して見てもかなりの長期政権ですし、コンスタンティヌスが確立した後期ローマ帝国の体制を受け継いで土台を固めたのは彼なのですから、重要視されて然るべき。研究史上でもその必要性が主張されてきたのですが。
で、いろいろ探して見つけたのが冒頭に挙げた書籍です。コンスタンティウス2世のキリスト教政策について主に扱った書籍らしいですが、問題はドイツ語なこと(笑)語学の問題で読みづらいことこの上ない…ドイツ語勉強しなおそうと思っているところです。
※2010年12月24日追記:目次を参考までに。
Vorwort
1.Constantius II. -Der verkannte Kaiser
2.Das Reich Constantins des Grossen: Zwischen Aufbruch und Tradition
3.Im Bannkreis des Vaters: Lehrjarhe eines Herrschers
4.Constantins Erben: Neuorientierung
5.Zeit der Bewahrung: Augustus des Ostens
6.Zwischen Kirchenkampf und Aussenpolitik: Die Zweierherrscheft
7.Sieg uber die Usurpatoren: Augustus des Gesamtreiches
8.Feldherr und Staatsmann: Constantius II. im Westen
9.Unter den Auspizien Constantius'II. : Caesar Julian
10.Glanz und Nostalgie: Der Rombesuch
11.Von Soldaten und Bischofen umgeben: Constantius II. im Donauraum
12.Ruckschlage und Erfolge: Die Verteidigung der Ostgrenze
13.Die verordnete Glaubensformel: Trugbild religioser Eintracht
14.Julian Augustus: Eine vorhersehbare Entwicklung
15.Der Imperator christianissimus als Zukunftsmodell romischen Kaisertums
Anhang