ビザンツ
新たに出版されたビザンツ帝国の概説書を読了。
- 作者: ジュディスヘリン,井上浩一,足立広明,中谷功治,根津由喜夫,高田良太
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 単行本
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ビザンツというと、分裂したローマ帝国の東側という観点で、古代史から延長のような感覚で見てしまうんだけれども。実際には本書の題名が示す通り、ビザンツ帝国が存在したのは中世だったわけで。中世の西洋世界に関する知識が無いとなかなか歴史的背景がつかめないということがありました(僕の知識不足と認識不足などなどのせいですが)。ですが、本書ではビザンツが他の諸国家と交流するとき(その交流が貿易であれ、戦争という形であれ)、他の諸国家に関する説明がなされており、歴史的背景や西洋中世世界の全体像が非常に掴みやすかった、と思いました。
また、過去の説明にとどまらず、特に「おわりに」に顕著なのですが、現代社会の問題に関しても触れられている点は、時にはっとさせられることも。500年以上前の世界に没入していたら、急に現代社会に引き戻されてびっくりする、という感覚がありました。
原著の出版は2007年。最新の研究成果を踏まえた第一人者による最新の概説書が日本語で読める、ということは非常にありがたいことです。