『法律から見る暮らし ヘルモゲニアヌス法典の世界』

明日明後日と開催される日本西洋史学会に参加してきますが、仙台から東京までの移動時間を利用して、この本を読もうと思っています。

Lives behind the Laws: The World of the Codex Hermogenianus

Lives behind the Laws: The World of the Codex Hermogenianus

<目次> 
Introduction
1. Seeking Justice in the Roman World / Petitioning in the Roman World
2. The Rescript System / The Codex Hermogenianus / The Resctript System in Motion / The Work of the
scrinium libellorum
3. The Rescript System in Context / Petitioners / Places
4. Using the System / "With the Law" / "Before the Law" / "Against the Law"
5. The Emperor and His Petitioners / Petitioners in Need: The New Understanding of Poverty / The Roles of
the Emperor / Limits on the Emperor / The Nexus of Power: Emperor, Officials, Petitioners
Conclusion
Appendix 1. The Skaptopara Inscription
Appendix 2. Catalog of Extant Entries from the Codex Hermogenianus


一般的に、ローマという国家は王政⇒共和政⇒元首政⇒専制君主政という政体の変遷を辿ったとされています(もちろん現在ではたくさんの見直しがなされていますが、教科書的な理解だとこうなっていると思います)。専制君主政となった後期ローマ帝国においては、皇帝は宮廷の奥で官僚たちに囲まれて政治を司っていた、とされています。例えば「背教者」として名高い皇帝ユリアヌスなどは逆に、積極的に民衆の前に出て行って意見を聞いたとして多くの著作家によって賞賛されていますが、これはユリアヌス以外の皇帝たちはめったに姿を見せなかったことを示唆している、とも言えます。


しかしながら、専制君主政の皇帝たちをこのようにネガティブに捉えるのではなく、官僚を通して民衆の意見を聞いたり政策を決定するシステムがどのようにして有効に機能していたのか、という観点からの研究が現在ではむしろ多くなっているようです。本書もそのような研究状況のなかで、ディオクレティアヌス帝時代に編纂された法典である『ヘルモゲニアヌス法典』を題材として、当時の法システムを論じるものです。


すでに英語で書評が書かれており(Bryn Mawr Classical Review 2011.02.32)、その評者は非常に高い評価を与えています。期待して読むことにします。


ところで、その書評の一番下に、またコンスタンティヌスの本が出るって予告があるんですが…