青木健『マニ教』講談社選書メチエ
週末に時間が出来たので、前から読んでみたかった本を購入し一気読み。
- 作者: 青木健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/11/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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第一章 マーニー教研究資料の発見史
第二章 マーニー・ハイイェーの生涯
第三章 マーニー・ハイイェーの啓示
第四章 マーニー教の完成
第五章 マーニー教教会史1
第六章 マーニー教教会史2
第七章 マーニー教教会史3
第八章 マーニー教教会史4
古代末期に生まれた宗教の一つであり、当時の古代地中海世界のさまざまな思想や宗教を混合して出来上がった宗教であるマニ教について非常に分かりやすく、時にユーモアを交えながら解説している本です。第一章でマニ教に関する近代の研究史を解説し、第二章がマニ教の創始者マーニー・ハイイェーの伝記となっています。第三章と第四章がマニ教の思想解説にあてられており、第五章以降はマーニー・ハイイェー死去後の展開が論じられます。
ローマ帝国とのかかわりについては第六章で、主にキリスト教会との関わりから述べられています。以前、コンスタンティウス2世が果物を決して口にしなかったとの話を紹介したことがありますが、ここでマニ教についても触れました。そこではマニ教の聖職者は果物を口にしてはいけない、との戒律があったと論じられていますが、こちらの本によれば、メロン、キュウリ、ブドウはむしろ積極的に食べるべき、とされていました。どうやら、以前紹介したタルデューの本が依拠した資料と、こちらの本が依拠している資料の違い(=地域によるマニ教の教義の変化と相違点)によるもののようです。
ブログを書くにあたってciniiで検索してみたら、すでに書評がありました。こちらもチェックせねば。