ティロ式記号

昨日テレビ朝日の情報バラエティ「シルシルミシル」(リンク先は公式サイト)のなかで、「速記記号はローマに始まる」との情報がありました。そういえば聞いたことがあったので、研究の息抜きがてら、ちょっと調べてみました。


速記」(wikipedia)に用いられる記号を発明したのはかのキケロの解放奴隷マルクス=トゥッリウス=ティロなる人物で、キケロの秘書として大いに活躍していたようです。現存するキケロの書簡集には、ティロに宛てられた何通もの手紙がおさめられており、キケロがどれほどティロを頼りにしていたかが読み取れます。秘書としてはキケロの書簡や著作の整理、弁論の速記などの仕事に従事していたようで、『ウェッレース弾劾』を出版したのがティロのようです。また、自身の主人だったキケロの死後、『キケロ伝』なる著作を出版したり、悲劇を書いたりもした文人だったらしいですが、現存する著作はありません。


ティロが発明したとされる「ティロ式記号」については、そもそも彼自身が発明したのは前置詞の略号だけだったらしいのですが、その後他の人々によって付加され、100年ほどしか経っていないセネカの時代にはすでに5000もの数に登っていたそうです。こののち中世においてはもはやその意味を失っており、現在では13000種類も知られているとのことです。


シルシルミシル」に出演されていた兼子次生さんの著書『速記と情報社会』には、ティベリウス帝が速記官の指を切り落としたという話が伝えられるとの記述があるのですが、こちらの出典をさがすことはできませんでした。明日以降、また暇を見て調べてみたいです。

参考文献
兼子次生著『速記と情報社会』

高山博・池上俊一編『西洋中世学入門』

西洋中世学入門

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