ポンペイ展&『「私たちの世界」がキリスト教になったとき』
仙台市博物館で開催中の「ポンペイ展」を観覧してきました。前回(といっても数年前のことですが…)仙台市博物館で開催された「ポンペイの輝き」に比べると、生活用品や屋敷の壁画など、人々の生活に密着した展示物が多かったと思います。医療用品やガラス製品、給水湯設備など、ローマ文明の発達ぶりに驚きました。やはり実物を見る、ということは大事ですね。
それから、こんな本を読みました。
「私たちの世界」がキリスト教になったとき――コンスタンティヌスという男
- 作者: ポール・ヴェーヌ,西永良成,渡名喜庸哲
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/09/23
- メディア: 単行本
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日本でもコンスタンティヌス大帝の改宗に関する研究は盛んで、多くの研究が蓄積されています。他にも最近出版された翻訳書もあり、このテーマの重要性が分かります。
- 作者: A.H.M.ジョーンズ,戸田聡
- 出版社/メーカー: 教文館
- 発売日: 2009/01
- メディア: 単行本
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今回読んだ『「私たちの世界」がキリスト教になったとき』は、日本でも何冊か翻訳書が出版されており著名なフランスの研究者ポール・ヴェーヌによるもの。とりあえず一回読み終えたところなのですが、難しかったです。僕は抽象的な議論が苦手なので、特に後半に向かうにつれてどんどん読むのが辛くなっていきました。
しかし前半のコンスタンティヌス大帝の改宗をめぐる問題、また大帝の親キリスト教的政策についての議論などは非常に興味深く、面白く読めました。「…コンスタンティヌスの改宗以後の、性的な悪習にたいする過酷な立法がキリスト教的な発想によるものか否かを問うてみても無駄である。それは有徳な立法であり、美徳というものは異教であれ、キリスト教であれ、区別されないものだからだ。」(48-9頁)などは、ここでは性的な悪習に限定されていますが、他にも応用する余地はあると思いました。
コンスタンティヌスの改宗の原因については、「その改宗の深遠な理由については、私たちは永遠に知りえないままだろう」(70頁)としつつも、「彼はみずからの成功の可能性も計算することなく、じぶんの臣下の九割から拒絶されていたこの新しい宗教のうちに、おのれの人格に似かよった活力を感じたのである」(75頁)とか、「コンスタンティヌスには篤実な善意があったのであり…ひとりの理想主義者と見なされていい」(76頁)と述べています。この問題についても喧々諤々たる議論の積み重ねがありますが、とりあえず、
Lenski, N., 'Introduction', in Lenski, N.(ed.), The Cambridge Companion to The Age of Constantine, Cambridge, 2006, 1-13. が簡潔なまとめをしてくれています。