ローマ史研究

「野獣狩り」の終焉時期

前回のエントリに一部事実誤認があったため訂正します。

せんだい歴史学Cafe 第45回放送

昨日のせんだい歴史学カフェ第45回放送にて、「クマ買う人々 〜元老院議員シュンマクスの憂鬱〜」と題しておはなしした内容を、カットした部分も含めてアップします。参考文献については、「せんだい歴史学Cafe」の該当ページもご参照ください。

「イサウリア人」

足立広明「イサウリア人とビザンツ:帝国内『蛮族』の『ローマ化』と社会参加」井上浩一・根津由喜夫(編)『ビザンツ:交流と共生の千年帝国』(昭和堂、2013年)、19–46頁。ビザンツ 交流と共生の千年帝国作者: 井上浩一,根津由喜夫出版社/メーカー: 昭和堂…

小アジアの二言語併用碑文

・志内一興「小アジアにおけるギリシア語・ラテン語併用碑文:社会言語学的考察の試み(2006年度歴史学研究会大会報告 いま,歴史研究に何ができるか:マルチメディア時代と歴史意識) (合同部会 前近代におけるメディア)」『歴史学研究』820 (2006)、142–150頁…

志内一興「属州ヒスパニアの形成、「ローマ化」とヒスパニア先住民: コントレビア碑文を手がかりに」『史学雑誌』110 (2001), 563‐585頁 http://ci.nii.ac.jp/naid/110002365350/目次) 一 問題の所在 二 ローマ―ヒスパニア関係史 三 コントレビア碑文 (1)…

イシドルス『語源』関連文献

昨年ラテン語ゼミで『語源』を輪読し、それをまとめなおした際にリストアップした関連文献をあげておく。<邦訳> セビリャのイシドルス(兼利琢也訳)(1993)『語源』上智大学中世思想研究所(編訳・監修)『中世思想原典集成5 後期ラテン教父』平凡社、505…

アタナシオス邦訳・文献

アタナシオス、ディデュモス『聖霊論』邦訳を購入。ついでに、アタナシオス著作の邦訳をまとめる。聖霊論 (キリスト教古典叢書)作者: アタナシオス,ディデュモス,小高毅出版社/メーカー: 創文社発売日: 1992/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る・…

松本宣郎(1985)「ギリシャ・ローマと初期キリスト教における宗教寛容 ‐P. Garnseyの報告から‐」『東北学院大学キリスト教研究所紀要』3, 27‐50頁。

ピーター・ガーンジィの報告「古典古代における宗教寛容」を手がかりとして、ギリシャ、ローマ、ユダヤ教、キリスト教における宗教寛容の内実を問う論考。ガーンジィ(以下G)はまず、「寛容」という概念を、「倫理上の、又は政治上の原則の利害から好意をも…

文献メモ:保坂高殿「ローマ帝国:古代教会の生態学的マトリックス (シンポジウム 第六一回キリスト教史学会大会)」『キリスト教史学』65 (2011), 9-27頁。

「キリスト教はローマ帝国に何をもたらしたか」というシンポジウムの第一報告である。報告者は、この問題の前提として、古代キリスト教の組織としての未熟性および、世俗に関する無関心という社会倫理的特性ゆえの、周辺社会に対するその影響力の欠如を指摘…

皇帝の推戴儀礼について

メロヴィング朝 (文庫クセジュ)作者: レジーヌ・ルジャン,R´egine Le Jan,加納修出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/09/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見るレジーヌ・ル・ジャン著『メロヴィング朝』(加納修訳・白水社文…

抜き刷り拝受「フォーラム 古代史研究から見た西洋史学の将来」

『西洋史学』240号掲載の「フォーラム 古代史研究から見た西洋史学の将来」の抜き刷りを頂戴しました。お送りくださったNさん、ありがとうございます。 このフォーラムは論文集『古代地中海世界のダイナミズム』を題材に、収録論文を書評し、その上で日本の…

論文抜き刷り拝受

12月19日に京都にて発表させていただいた(前回エントリーご参照ください)際、たくさんの研究者の方々から論文抜き刷りをいただきました。皆さんの最新の研究成果を学ぶことができ、とてもありがたく思います。失礼とは知りながら、敬称略にて、いただいた…

古代史研究会報告

ご無沙汰しておりました。6月以降、論文執筆や所属する研究室主催の学会のお手伝い、そして研究発表×2回と非常に忙しく、twitterではちょくちょくつぶやいていたのですがこちらのブログは完全に放置しておりました。ぼちぼち少しずつでも更新できれば、と思…

コンスタンティウス2世のコンシストリウム

コンスタンティウス2世(在位337−361年)のconsistoriumについて調べました。「コンシストリウムconsistorium」というのは、訳すなら「枢密院」とか「御前会議」という意訳になるんでしょうか、現代日本の内閣に相当するような後期ローマ帝国の支配機関です…

コンスタンティウス2世、ユリアヌス、マルクス・アウレリウス

明後日に迫っている日本西洋史学会ですが、今回僕が特に注目している発表の一つに、ユリアヌス帝についての発表があります。 中西 恭子(明治学院大学・兼) 15:00-15:40 「ありうべき「哲人皇帝」の宗教政策とはなにか―ユリアヌスの宗教政策と古代末期の歴…

ヒエロニムス『年代記』におけるシルウァヌス反乱の年代

ヒエロニムス『年代記』のHelmによる校訂本では、通説では355年とされる軍団司令官シルウァヌスの反乱事件が354年に起こったとされており、僕が探した限りではこの問題に触れた先行研究は無かったので、調べて註を書きました。ヒエロニムス『年代記』には英…

『ローマ帝国の政策 ユリアヌスからテオドシウス』

今月中旬から来月上旬にかけて、西洋古代史に関連する全国規模の学会が三つ開催されます。第61回日本西洋史学会2011年度歴史学研究会大会日本西洋古典学会第62回大会 どの学会にも興味深い発表、報告があり、全ての学会に参加しようと思っています。とはいえ…

ダンバートン・オークス

以前大学のゼミで、中世のビザンツ帝国における学問組織と、現代の大学組織を比較しつつ、ビザンツ研究史を振り返るという論文を読んだことがありました。 Margaret Mullett, ”Byzantine Scholarship: Twelfth-Century Constantinople, Twentieth-Century Br…

立法者コンスタンティヌス

今日読んだ論文。 Jill Harries, "Constantine the lawgiver", in Scott McGill(eds.), From the Tetrarchs to the Theodosians, Cambridge, 2010.From the Tetrarchs to the Theodosians: Later Roman History and Culture, 284?450 CE (Yale Classical Stu…

イリュリクム

google scholarを検索していたらクロアチア語の論文が見つかり、それはとりあえず一旦脇に置いておいて(苦笑)、ふと思いついてその論文著者を検索したら、英語論文が見つかったのでメモ。Gračanin, Hrvoje, "Illyricum of the 2nd and 3rd centuries A.D. …

コンスタンティウス2世と果物

あわただしく新年度を迎えたので、新年度という感じが全くしないのですが、久々に研究室の雑誌から論文をコピーして読みました。短いものなんですが。D. Rohrbacher, "Why didn't Constantius II eat fruit?", The Classical Quarterly, 2005, 323-26. 「な…

ヒエロニムス『年代記』

地震から一週間と一日が過ぎ、仙台市中心部は復興しつつあります。もちろん、大きな被害に遭われた他地域では、まだまだ地震の爪痕が生々しく、日常を取り戻すまでは程遠い状況です。しかし、いつまでも立ち止まっているわけにもいきません。僕は僕で、日常…

リウィウスの話

ようやく東北にも春が来るか、と思っていたら、今日は雪が降りました(涙)まだまだ寒いです。大学へ向かう途中の道では、咲きかけていた梅の花に雪が積もり、それを写真に撮っている方がいらっしゃいました。さて、最近は研究室の友人らとリウィウス『ロー…

ポンペイ展&『「私たちの世界」がキリスト教になったとき』

仙台市博物館で開催中の「ポンペイ展」を観覧してきました。前回(といっても数年前のことですが…)仙台市博物館で開催された「ポンペイの輝き」に比べると、生活用品や屋敷の壁画など、人々の生活に密着した展示物が多かったと思います。医療用品やガラス製…

ストラテギウス・ムソニアヌス

手ごろな長さの論文を読もうと思ったら、その論文が別の論文に対する批判論文だったので、結局二本読まなければならなくて涙目な孔明の罠。4世紀前半、コンスタンティウス2世に仕えた官僚であるストラテギウス・ムソニアヌスなる人物についての論文を二本。…

プロパガンダ・黄金冠

下記の書籍を読みました、といっても、長いので第六章だけ。貸してくれた友人に感謝です。Imperial Ideology and Provincial Loyalty in the Roman Empire (Classics and Contemporary Thought, 6)作者: Clifford Ando出版社/メーカー: Univ of California P…

『西洋古代史研究』

京都大学文学研究科・文学部 西洋史研究室から毎年発行されている雑誌『西洋古代史研究』が、pdf形式でインターネット上で閲覧可能になりました。リンクはこちら。学術雑誌のインターネット上での公開は年々増えていますが、最新号まですぐに公開される、と…

ヒエロニムスと『皇帝史』

今日読んだ論文。 R. W. Burgess, "Jerome and the Kaisergeschichite", Historia 44/3, 1995, 349-69. (「ヒエロニムスと『皇帝史』) これまでいくらか紹介してきた4世紀の歴史家の著作のうち、ラテン語で書かれた著作には共通する一つの史料、つまり種本…

アンミアヌス関連論文

今日の仙台は強風が吹き荒れ、外出するのも一苦労でした。雪がすっかり溶けきっていたのが幸いでしたが… 僕はというと、この一週間ほどはラテン語史料と格闘していたため、ほとんど論文を読むこともできませんでした。今日は一区切りをつけて他の作業をした…

コンスタンティヌス大帝の剣闘士競技禁止令

先週末から先日まで、以前に翻訳したラテン語・ギリシア語史料をもう一度読み直すという作業をやっていました。翻訳のミスが余りに多くて、とにかく、自分の勉強不足を痛感した、というところです。もっとしっかり勉強しなければ…その合間に、というわけでも…