ゾナラスの年代記

書籍メモ。

The History of Zonaras: From Alexander Severus to the Death of Theodosius the Great (Routledge Classical Translations)

The History of Zonaras: From Alexander Severus to the Death of Theodosius the Great (Routledge Classical Translations)

本自体は昨年出版されていたものです。12世紀の歴史家ゾナラスが著した歴史書の英語訳で、原著のうち12巻と13巻から抜粋して注釈をつけてあります。原著は天地創造から12世紀までを扱った大著ですが。本書で翻訳された箇所は、時代としては3世紀初頭から4世紀まで。皇帝で言えば、アレクサンデル=セウェルスからテオドシウスです。


上記の時代にはもちろん3世紀も含まれているんですが、3世紀というのは比較的、信頼できる同時代史料が少ないといわれています。そのため、このゾナラスの歴史書はおよそ900年も経ってから書かれているにも関わらず、3世紀に関する重要史料とされます。しかも3世紀というのは、現在ローマ史研究では非常に「熱い」(という表現でいいのかな…)分野でありまして、またさまざまな面での研究が求められている時代でもあります。本書がこの時代を対象にして翻訳したのは、そのような事情が背景にあるのでしょう。