エウナピオス

件の缶コーヒーのバトルがふと気になったので、実際に飲み比べてみた。結論としては、当たり前のことながら、朝は甘めの王道、微糖は昼に飲むのが良い、と思った。要は、時と場所に応じて選べば良い、ということ。


で、飲み比べながら調べたのが、4世紀の歴史家であり哲学者でもあった人物、エウナピオスの歴史書の成立年代。この人物は『歴史』と『哲学者・ソフィスト列伝』の二作品を著したのですが、前者は断片でしか伝わっておらず、後者はすでに日本語訳が出版されています。

哲学者・ソフィスト列伝 (西洋古典叢書)

哲学者・ソフィスト列伝 (西洋古典叢書)

しかし問題となるのは『歴史』の方で、ちょっとややこしい。これまでの研究結果から『歴史』は初版の公刊後、著者であるエウナピオス(あるいは別人)によって改訂が施されたことが分かっています。また、『哲学者・ソフィスト列伝』の公刊は399年であることも分かっています。そして『哲学者・ソフィスト列伝』のなかで著者自身が『デクシッポス以降の歴史』に言及していることから、初版が399年以前に出版されたことは確実です。そして『歴史』の現存する断片(第二版)は404年までの出来事を伝えているので、第二版はそれ以降の出版、ということになります。初版の出版年代(正確には、初版が扱っていた年代の下限)については議論があって、378年説と395年説があるようです。

参考にした文献は次の通り。

The Historians of Late Antiquity

The Historians of Late Antiquity

Greek Philosophers and Sophists in the Fourth Century Ad: Studies in Eunapius of Sardis (Arca, 28)

Greek Philosophers and Sophists in the Fourth Century Ad: Studies in Eunapius of Sardis (Arca, 28)

(この本については以前紹介しました)