続「アンティオキアのヨハネス」
前回書いた「アンティオキアのヨハネス」ですが、結局事典類を当たってみたところ、やっぱり少し物足りない結論しか得ることができませんでした。『オックスフォード版ビザンツ学事典』によれば、「…様々な写本に抜粋された多数の歴史叙述にその名が見られる…現在ではアダムから610年までの世界年代記を著した7世紀の作家と、10世紀の人物の二人が混同されたと考えられている」とのこと(原文は英語)。
The Oxford Dictionary of Byzantium
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これに対し『ブリル新古典学事典』によれば、「ビザンツ時代の歴史書の豊富な断片に結び付けられている名前だが、テクストは少なくとも二人の著者に帰せられる。一人目は520/530年代の作家、二人目は9/10世紀の作家である。…前者はヨハネス=マララス、アンティオキアのヨアンネスとは区別される…」とのこと(原文はこちらも英語)。
Brill's New Pauly: Encyclopedia of the Ancient World
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こんな状況ですので、ともかく「アンティオキアのヨハネス」については6世紀以降のギリシア語歴史家、くらいのことしか分からないようです。ただし作家その人については分からなくても、その著作についてはいくつか研究もあるようですので、そちらをあたってみようと思います。
それから、「アンティオキアのヨハネス」というとキリスト教学では「アンティオケイアのヨアンネス」なるアンティオオキア総主教を指すようです。こちらは研究社刊『新カトリック大事典』で調べたのですが。
新カトリック大事典 [第IV巻] (ハク-ワン) <別冊 索引>付
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何気に執筆者一覧をめくってみると、著名なローマ史・ビザンツ史研究者の方々が執筆されていたり。