ローマ史研究

エウナピオス

件の缶コーヒーのバトルがふと気になったので、実際に飲み比べてみた。結論としては、当たり前のことながら、朝は甘めの王道、微糖は昼に飲むのが良い、と思った。要は、時と場所に応じて選べば良い、ということ。 で、飲み比べながら調べたのが、4世紀の歴…

エウトロピウス

昨日紹介したアウレリウス・ウィクトルと同様の簡潔なローマの歴史書を書いた著作家に、エウトロピウスという人物がいます。彼の著作は『首都創建以来の歴史Breviarium ab urbe condita』と題されており、その題名が示すように、ローマ市の創建から、彼が生…

アウレリウス・ウィクトル

4世紀以降ローマ帝国では、それまでのローマの歴史を簡潔に記した一連の歴史書が書かれるようになります。簡潔とはいえ、特に記録の残存状況が悪い3世紀から4世紀においては、そうした史料は不可欠で、貴重な記録でもあります。 そうした歴史書を記した人の…

ガレリウスと東部属州

引き続きBill Leadbetterの論文を読みました。"Galerius and the Revolt of the Thebaid in 293/4", Antichthon 34, 2000, 82-94."Galerius and the Eastern Frontier", in Freeman, Ph.(eds.), Limes XVIII: proceedings of the XVIIIth International Cong…

3世紀中葉のキリスト教迫害

さる理由で最近、Bill Leadbetterというオーストラリアの研究者の論文を集めて読んでいます。国内で手に入らない論文がいくつかあるのがやはり難点ですが。今日はこの論文を読みました。Bill Leadbetter, "Imperial Policy and the Christians in the Late T…

学術雑誌のPDF

Epigraphica Anatolicaという雑誌に掲載された論文が読みたくて調べたのですが、国内に所蔵している図書館が無かったようで、取り寄せることができなかった、ということが以前ありまして。 たまたま著者名でGoogle検索をかけていたら、なんと数年分がPDFでオ…

古代史研究会

去る12月19日(日)京都大学で開催された、第9回古代史研究会大会に参加してきました。はるばる仙台からの参加ということで朝早く飛行機で向かったのですが、大会の翌日寝不足プラスアルファがたたったのか、見事に体調を崩してしまいました(笑)日頃からも…

『ギリシア』後のギリシア

東北学院大学オープン・リサーチ・センター公開講演会「『ギリシア』後のギリシア〜帝国支配下のアテネ〜」に参加してきました。講演者の一人が新幹線の運休のため遅れる、というアクシデントはあったものの、時間内にご到着、無事にお二方の講演を聴くこと…

ポンペイ続報

11月16日のエントリに書いたポンペイ遺跡崩壊の悲しむべき続報が… ポンペイ遺跡、また崩壊 「雨が原因」と政府(47NEWS) 緊急対策が講じられようとしていたようですが、間に合わなかった、というか遅かったようですね。「またまた」が無いことを祈ります。 …

ローマ時代の伝染病

ちょっと前のニュースですが(新しくないのにニュースとはこれいかに)、中世ヨーロッパで猛威を振るったペストの起源が中国にあるとの説が発表されました。ペストは中国が起源、シルクロード経て世界に拡散 国際研究各国の研究者たちが集まって、ペストの起…

遺跡保存の問題

今月上旬、イタリアはポンペイ遺跡で大変な出来事がありました。(以下はニュースサイトへのリンク) ポンペイの「剣闘士たちの家」倒壊、伊政府に非難集中ポンペイ、遺産崩壊で不信任も 閣僚の責任追及イタリアの歴史的建造物に倒壊の危機、NGOが警鐘記事に…

海外大河ドラマ?

授業の一環として、BBCで制作された古代ローマのドラマを見ました。BBCで制作されたローマのドラマというと、こちらの連続ドラマもありましたが、今回見たのは違うドラマです。(リンク先はそれぞれBBCワールドワイドジャパン、wikipedia) 第一話…

コンスタンティウス2世の性格

今日午前中に読んだ論文:Nutt,D. C."Silvanus and the emperor Constantius II" Antichthon 1973 VII pp.80-89. 前回とりあげたシルヴァヌスの反乱について、その原因を検討した論文です。かなり古い論文で、すでにその部分部分に反論が加えられていたりも…

ヨウィアヌス帝の即位

昨日読んだ論文:Noel Lenski,"The Election of Jovian and the Role of the Late Imperial Guards",Klio 82, pp.492-515. ヨウィアヌスという、ユリアヌス以降テオドシウスまでのマイナーな(失礼)皇帝たちのなかでも一際マイナーな皇帝の即位についての論…

続「アンティオキアのヨハネス」

前回書いた「アンティオキアのヨハネス」ですが、結局事典類を当たってみたところ、やっぱり少し物足りない結論しか得ることができませんでした。『オックスフォード版ビザンツ学事典』によれば、「…様々な写本に抜粋された多数の歴史叙述にその名が見られる…

「アンティオキアのヨハネス」

今5世紀の史料について調べなければいけなくて、いろいろと文献を漁っています。西洋古代史史料について、とりわけ今調べている5世紀の史料に関して日本語で読める文献を見つけることができなかったので、英語の文献をとりあえずあたっているところです。で…

訳語の問題

一仕事区切りがついたので、途中まで読んでいて止めていたハドリアヌス帝についての訳書を読了。ハドリアヌス帝―文人皇帝の生涯とその時代 (文庫クセジュ)作者: レモンシュヴァリエ,レミポワニョ,Raymond Chevallier,R´emy Poignault,北野徹出版社/メーカー:…

キリスト教とローマ帝国

前回と同じような見出しですが、東北学院大学で行われた『ヨーロッパ文化研究所公開講演会 初期キリスト教のアイデンティティとローマ帝国』に参加してきたので、それは仕方ないことなのです。今回は宮城学院学院長松本宣郎先生による講演で、初期キリスト教…

教会と国家

昨日東北学院大学で行われた「オープン・リサーチ・センター公開講演会 古代末期から初期中世における宗教と国家 ―ローマ・フランク・イスラーム― 」に参加してきました。詳細はリンク先のページにありますが、後期ローマ帝国・フランク王国・イスラームとい…

ブルクハルト再読了

週末用事があって帰省したのですが、移動時間を利用して以前(2010/6/3)紹介したブルクハルト著『コンスタンティヌス大帝の時代』を再読了しました。3年前とは違った理解ができたらいいな、というのが目標だったのですが…前回は何もわかっていなかったんだな…

「簒奪者」あるいは「暴君」

今日読んだ論文:Wardman,Alan,E."Usurpers and Internal Conflicts in the 4th Century A.D.",Historia bandXXXIII heft1,1984.表題の通り4世紀における「簒奪者」や内乱について扱った論文…なのですが、期待した内容とはちょっと違っていました。4世紀にロ…

テオドシウス帝の登位

5月15日にブログを始めた際、論文を一本読んだ、と書いてそのままにしておいたのですが、 放置したままではあんまりだと思ったので、今日はその論文について要約&思ったことを。 Errington, R.M.,"The Accession of Theodosius I",Klio, 78, pp.438-453, 199…

ローマ皇帝の名前の読み方

ローマ皇帝の名前って、当然ラテン語表記が基本なので、ローマ字読み?を日本語に転写するわけですが、 その際に問題だなあ、と徒然思ってきたのが、"U"と"V"の読み方です。ラテン語ではUとVを使い分けないので (使い分けるようになったのは中世以降だった…

Arnold Hugh Martin Jones(1904-1970)

後期ローマ帝国を研究する人にとっては間違いなく参照しなければならない、基本文献があります。The Later Roman Empire, 284-602: A Social, Economic, and Administrative Survey作者: A. H. M. Jones出版社/メーカー: Johns Hopkins Univ Pr発売日: 1986/…

はじめまして

仙台でローマ史について研究している者です。専門は4世紀のローマ帝国における軍隊と皇帝との政治関係。 読んだ論文のメモや、近況についてなど、思い立ったときに記録していきます。今日読んだ論文:Errington, R.M.,"The Accession of Theodosius I",Klio,…